楽器音の順方向再生と逆転再生を比較するフォルダーです. 時間的に減衰する音としてピアノとギターの音, 定常的な(励振エネルギーが持続的に与えられる)音として ヴァイオリンとアルトサックスの音が入れてあります. ●減衰音 図3.75 ピアノについてはC3音とC4音を使っています. ピアノの音は時間的に減衰するので,逆転再生すると音が増大するため不自然に聞こえます. 逆転音では音高さえもどのオクターヴかがわからなくなっています. 図3.33 ギターでは高さはC3だけしか使っていませんが,ナイロン弦の場合とスティール弦の場合を入れてあります. ギターの音も減衰音なので,逆転再生すると音が増大するため不自然に聞こえます. ●定常音(持続音) ヴァイオリン ヴァイオリンは演奏音とG線開放弦の定常音を入れてあります. 定常的な単音(冒頭のG3音)では時間減衰がないので,逆転させても不自然さはありませんが, 音が順次出てくる演奏音では弓の弦に対する圧力が時間反転するので強弱の時間変化が 逆転するので,不自然な変化になり,聞いた感じは演奏としてはおかしな音になります. サクソフォン 第3章 3.1.2 シングルリード楽器 (b)サクソフォン アルトサックスについては(ブロウ奏法でない)普通の奏法によるD♭3とA3 を入れてあります.リードの振動が時間反転するので,不自然な振動になるはずですが, 単音で聞いただけではそれほど違いが分かりません. ただ,音色が少し違うので,聴き慣れている人が聴けば不自然さが分かるような気もします. 定常音は時間波形の包絡を見ても逆転されていることが分かり難いですが, 短時間を切り出して,時間軸を拡大すれば逆転していることが分ります. A-Sax波形拡大.png に,アルトサックスのA3の定常的な音とその時間逆転音の波形の 中央部分からそれぞれ2周期分ほどを切り出して,時間軸を拡大した図を挙げておきます. 時間軸を拡大すれば,波形が左右反転していることが分かります. 時間軸上で適当に(いい加減に)切り出したので,順方向と逆転法方向で場所が異なるため, 波形が完全に逆転したものにはなっていませんが,概略反転していることが分かります.